緑茶は日本の伝統的な飲み物であり、世界中で人気があります。
茶には様々な種類があり、それぞれに違った風味や香り、淹れ方や保存方法があります。
本記事では、日本の緑茶の代表的な9種類について、それぞれの特徴を紹介します。
緑茶の種類を知ることで、お茶の楽しみ方が広がりますよ。
緑茶とは?
緑茶は、チャノキという植物の若い葉から作られるお茶です。
紅茶やウーロン茶とは違って、発酵させずに作られるため、茶葉は緑色で爽やかな風味です。
緑茶は中国が発祥の地で、そこから日本や韓国など東アジアの国々に伝わり、重要な文化的役割を果たしてきました。
日本では、茶道やお茶の時間など、緑茶を楽しむ機会が多くあります。
緑茶の種類と特徴
ここでは、代表的は9種類の緑茶の特徴を紹介します。
それぞれの特徴は、淹れ方や品質、産地、個人の好みなどによっても異なりますが、一般的な目安として参考にしてみてください。
煎茶
- 主要な産地:静岡県、京都府の宇治地方、福岡県の八女地方
- 加工方法:蒸す→揉む→乾燥
- 茶葉:細長く、色は鮮やかな緑色
- 水色:明るく透明感のある鮮やかな緑色
- 香り:さわやかで心地よい、草や微かに感じる花のような香り
- 味:旨みと苦みのバランスが良く、後味に甘みが感じられることが多い
煎茶は日本の代表的な緑茶です。
日本全国で生産されますが、特に静岡、宇治、八女が有名です。
日光をたっぷりと浴びて育つ煎茶の茶葉は、蒸し加工後に揉みと乾燥を経て、鮮やかな緑色に仕上がります
水色は明るく透明感のある緑色が特徴で、さわやかな香りと旨み、苦みのバランスが良い味わいが楽しめます。
深蒸し煎茶
- 主要な産地: 静岡県
- 加工方法:煎茶よりも長く蒸す→揉む→乾燥
- 茶葉: 緑色が濃く、細かく砕けやすい
- 水色:濃い緑色
- 香り:独特の濃厚な香りを持ち、甘みや旨みを感じさせる
- 味: 濃厚で、旨みと甘みが強く、苦みや渋みが控えめ
深蒸し煎茶は、静岡県で主に栽培される緑茶です。
通常の煎茶より長時間蒸されることで、茶葉は濃い緑色で柔らかく、細かく砕けやすい状態になります。
この加工によって、濃い緑色の水色と濃厚で独特な香りを持ち、旨みと甘みが際立ち苦みと渋みは控えめな味わいになります。
玉露
- 主要な産地:京都府宇治地域
- 加工方法:遮光して栽培→蒸す→乾燥
- 茶葉:柔らかく非常に細かい、色は深い緑色
- 水色:濃い緑色で、光沢がある。
- 香り:甘く深い落ち着いた香り
- 味:濃厚で旨みと甘みが際立ち、苦みや渋みはかなり少ない
玉露は日本の高級緑茶で、特に京都府宇治地域での栽培が有名です。
収穫後の茶葉は蒸し加工され、深い緑色で細かく柔らかい茶葉に仕上がります。
水色は濃く光沢のある緑色で、香りは甘く深く、新鮮な草原や熟したフルーツを思わせます。
味わいは濃厚で、旨みと甘みが際立ち、苦みや渋みはとても少ないです。
抹茶
- 主要な産地:京都府の宇治地域、奈良県、静岡県
- 加工方法:遮光して栽培→蒸す→乾燥→茎や葉脈を取り除く→石臼で挽く
- 茶葉: 粉末状で、鮮やかな緑色
- 水色:濃い緑色で、泡立ちが良い
- 香り:若葉のような爽やかさと甘みを持ち合わせた香り
- 味: 濃厚で、旨みと甘みが強く、苦みと渋みも感じられる
抹茶は、主に京都府宇治地域をはじめとする日本各地で栽培されています。
蒸し加工後、石臼で細かく挽かれた粉末状の抹茶は、鮮やかな緑色が特徴です。
水色は濃い緑で泡立ちが良く、香りは新鮮な野菜や若葉を思わせる爽やかさと、熟したフルーツのような甘み、温かみを持ち合わせています。
味わいは非常に濃厚で、旨みと甘みが強く、苦みと渋みも適度に感じられます。
ほうじ茶
- 主要な産地: 日本全国
- 加工方法:蒸す→揉む→乾燥→焙煎
- 茶葉:乾燥してほろほろとした質感、焙煎により褐色に変わる
- 水色:明るい琥珀色または褐色
- 香り:コーヒーやローストナッツに似た温かみのある香ばしい香り
- 味:渋みが少なく甘みと香ばしさがある、まろやかな口当たり
ほうじ茶は、茶葉を高温で焙煎したお茶です。
焙煎することで茶葉の色は茶褐色に変わり、香ばしい香りと味わいが生まれ、茶葉は乾燥しほろほろとした質感になります。
水色は明るい琥珀色または褐色で、香ばしいローストナッツやコーヒーに似た温かみのある香りがします。
味わいはまろやかで渋みが少なく、ほのかな甘みと香ばしさが特徴です。
番茶
- 主要な産地:日本全国
- 加工方法:茶樹の下部の葉や成熟した葉を使って蒸す→揉む→乾燥
- 茶葉:深緑色で、他の緑茶よりも大きく厚みがある
- 水色:黄緑色から褐色がかった色合い
- 香り:控えめで、木の葉や草のような自然な香り
- 味:渋みや苦みが少なくまろやか
番茶は、下部にある成熟した葉や、時には茎を含む葉を使用して作られたお茶です(煎茶は若い葉を使用します)。
番茶の茶葉は大きく厚みがあり、深緑色をしています。
水色は黄緑色から褐色がかった色合いです。
香りは素朴で自然なもので、木の葉や草のような香りが特徴です。
味わいは渋みや苦みが少なく、まろやかな味わいです。
日常的に飲まれるお茶として親しまれています。
茎茶
- 主要な産地:日本全国
- 加工方法:緑茶の加工過程で茶葉から茎を分離→乾燥
- 茶葉:茶葉よりも茎の割合が高い黄緑色から褐色がかった色
- 水色:明るい黄緑色から琥珀色、葉よりも色が薄めで透明感があります
- 香り:葉の茶に比べて穏やかで、木や草の香り
- 味:渋みが少なくほのかな甘みが特徴的で、すっきりとした後味
茎茶は、通常の緑茶と同じ方法で栽培された茶樹の、茎を主体としたお茶です。
茎茶の茎は黄緑色から褐色がかった色をしており、葉に比べて硬いです。
水色は明るい黄緑色から琥珀色で、葉よりも色が薄く透明感があります。
香りは葉の茶に比べ穏やかで、木や草の香りの中に甘い香りも感じられます。
味わいは渋みが少なく、茎特有のさわやかな味わいとほのかな甘みが特徴的で、すっきりとした後味が残ります。
玄米茶
- 主要な産地:日本全国
- 加工方法:蒸す→揉む→乾燥→焙煎した玄米と混ぜる
- 茶葉: 緑茶の茶葉と焙煎された玄米が混ざっている
- 水色:淡い黄緑色から褐色
- 香り: 緑茶のさわやかさと焙煎された玄米の香ばしさが組み合わさった香り
- 味: 緑茶の清涼感と玄米の香ばしさが調和した、まろやかで飲みやすい味
玄米茶は、緑茶と焙煎された玄米を組み合わせたお茶です。
水色は淡い黄緑色から褐色で、香りは緑茶のさわやかさと玄米の香ばしい穀物の香りが調和しています。
味わいは緑茶の清涼感と玄米の香ばしさ、ほのかな甘みが組み合わさり、まろやかで飲みやすく、すっきりとした後味が特徴です。
釜炒り茶
- 主要な産地:九州地方で生産され、特に鹿児島県や宮崎県が有名
- 加工方法:蒸す→揉む→釜で炒る→乾燥
- 茶葉:緑色が濃く、ややカールしていて硬い
- 水色:淡い黄緑色で透明感がある
- 香り: ナッツや穀物のような温かみがある香ばしい香り
- 味: 渋みが少なくやや甘みがあり、後味は爽やか
釜炒り茶は、九州地方、鹿児島県や宮崎県で主に生産される伝統的な緑茶です。
茶葉は緑色が濃く、ややカールしていて硬質です。
水色は淡い黄緑色で透明感があり、香りは香ばしく、ナッツや穀物を思わせる温かみのあるものです。
味わいは渋みが少なく、やや甘みがあり、香ばしさが特徴的で飲みやすく、爽やかですっきりとした後味が楽しめます。
緑茶の淹れ方の目安
緑茶の種類によって、適切なお湯の温度と量、茶葉の量、抽出時間は異なります。
パッケージに書かれている通りに淹れれば問題ありませんが、パッケージに書かれていない場合は以下を参考にしてください。
種類 | お湯の量 | お湯の温度 | 茶葉の量 | 抽出時間 | 煎じ回数 |
---|---|---|---|---|---|
煎茶 | 90ml | 70-80℃ | 2g | 1分 | 2-3回 |
深蒸し煎茶 | 90ml | 60-70℃ | 2g | 30秒 | 2-3回 |
玉露 | 40ml | 60℃前後 | 3g | 1分 | 2-3回 |
抹茶 | 60ml | 80℃前後 | 1.5g | なし( 泡立てる ) | 1回 |
ほうじ茶 | 130ml | 90-100℃ | 2g | 30秒 | 1-2回 |
番茶 | 130ml | 80-90℃ | 2g | 30秒 | 1-2回 |
茎茶 | 130ml | 70-80℃ | 2g | 1分 | 2-3回 |
玄米茶 | 130ml | 80-90℃ | 2g | 1分 | 2-3回 |
釜炒り茶 | 130ml | 80℃前後 | 2g | 30秒 | 2-3回 |
お茶をおいしく淹れるコツはこちらの記事でまとめました。
緑茶の保存方法
緑茶をおいしく飲むためには、茶葉を適切に保管することが大切です。
正しい茶葉の保存方法については、以下の記事にまとめました。
まとめ:特徴を知って緑茶を楽しもう
緑茶の世界は奥深く、その種類には無限の可能性があります。
それぞれの特徴を知ることで、緑茶の真の魅力を存分に味わうことができます。
日々の生活に緑茶の豊かな風味を取り入れてみてください。